06年05月ビラより3
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実践的労働法講座 - 1 -
第1回 不当労働行為
このコーナーは,暮らしに役立つ知識を身につけつつ,立命の争議を理解するための学習コーナーです.
労働法なんて,自分には関係ないと思うかもしれませんが,弁護士や労組活動家になる予定のない「普通の」人でも,一生労働問題と無縁で暮らせるラッキーな人はあまり多くはありません.職場でのトラブルは,じわじわと押し寄せてきたり,ある日突然あなたの上に落ちてきたりします.また,管理職になった場合には知らずに違法行為をしてしまわないように,注意が必要です.知らなかったではすまされません.いざというときのために,今から,正しい知識を身につけておきましょう.
不当労働行為【労組法第7条】
不当労働行為は,使用者が労組や労組員に行なってはならない違法行為のことで,労働組合法の第7条で規定されている.労組や労組員に対する「差別・不利益取り扱い・報復・賃金カット・威圧・中傷」や「団交拒否,不誠実交渉」などがこれにあたる.「会社による支配介入」は,管理職による労組や役員への誹謗,労組の運営や方針への干渉などで,最も警戒すべき陰湿かつ巧妙な労組法違反である.
不当労働行為があったという情報に接したら,直ちに調査し,証拠や記録【文書・写真・email・テープ・タイムカードなど】を保全する.そして組合は使用者に強い抗議を行なう.そこで会社が反省・謝罪したら,その責任と再発防止の記録を残し,解決する場合もある.しかし確信犯ともいうべき悪質な場合は,否認-無視してくるから,労働委員会に不当労働行為救済申立をせざるをえない.これは各都道府県ごとにある,労組法の番人のような行政機関である.【一方,労基署 (労働基準監督署) は労基法 (労働基準法) の番人であり,各地域にある】
労働委員会は,公労使による3者構成の委員による裁判のような形でやる.申立書を提出すると,調査と審問が行われ,書証や証人などを出し合い,労働委員会が「解雇を撤回せよ.労組に謝罪せよ」といった命令を下す.一方,期間が相当かかることもあって,調査や審問の途中で,労働委員会が「和解」を勧告し,解決に至る場合も多い 【全体の60~70%】.
しかし労働委員会に手間がかかるとしても,ウソつきの会社側管理職が反対尋問時に,傍聴の組合員の前でボロボロになったり,書証から会社の内部機構や手口が明らかになるなど,メリットは大きい.
立命館大学の場合
立命館大学における争議でも,不当労働行為は大きな問題になっている.例をあげれば
★ 労組間の差別 【組合事務所貸与を拒否,従業員代表選挙からの排除】
★ 組合員への脅し 【昨年6月初めてのビラまきの日の夜,ビラまき参加組合員の上司から,立命当局の指示の下 「このような活動を続けるなら来年の契約は保障できない」 という電話がかけられた等】
★ 組合や組合員に対する公然隠然の誹謗 【ストライキ批判ポスターの中の 「ゼネラルユニオンは教職員の誇りを傷つけている」 「ゼネラルユニオンのストライキは不当」 といった表記はその一例】
★ ストライキ参加組合員に対する報復
等々際限がない.
ゼネラルユニオンは2005年7月に大阪府労働委員会に不当労働行為救済申立を行った.事件が複雑な上,申し立て後も不当労働行為が頻発したため調査に時間がかかり,今年3月にようやく審問に入った.組合側証人の主尋問と反対尋問,大学側証人の主尋問の計3回の審問が終わったところだ.
次回の審問は6月5日(月) 1時~3時.大学側の証人2名を組合が反対尋問するという,最も注目すべき審問のひとつだ.興味のある方はぜひ傍聴を!
大阪府労働委員会は天満橋にある.詳しくは,GU立命館大学支部のブログgurits.exblog.jpを.
06年05月のビラ全体(PDF)はこちら