2006年 08月 24日
クレオテックの取り分
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このところ,立命館100%出資の営利企業 クレオテック について考えすぎて,夢でうなされるので,ここに書いて私の夢から出ていってもらおうと思う.
クレオテックは,立命館が必要ないろんなサービスをコーディネートをする会社である.たとえば「 教育用および事務用機器・備品の販売、リース」が事業のひとつとして上がっているが,事務用機器を作っているわけでもなければ,販売店を経営しているわけでもなく,リース会社をしているわけではない.クレオテックのホームページにも書いてあるが,メーカーやリース会社との折衝をしているだけである.
しかし,メーカーやリース会社との折衝「だけ」といっても,結構そういうこまごました庶務というのはメンドクサイものである.それをまとめて切り離してアウトソーシングしたということだ.
「総務アウトソーシング」で検索するとそういうサービスをやっている会社がいっぱいヒットする.
さらに,クレオテックは,人材派遣もやっているが (クレオテックと立命館の派遣法違反については,書いていると長くなるので今回はパス) 人材派遣は,立命館では,「人事課のアウトソーシング」とみなされているようだ.
つまり,モノの管理のアウトソーシングだけでなく,ヒトの管理もアウトソーシングしようということだ.モノの場合もメンテナンスは必要だが,ヒトの場合は,いったん雇ってしまうと,給料の管理から始まって,各種保険,移動,賃上げ,賃下げ,解雇,雇止め,組合に入れば,交渉,争議,さらには,セクハラをしたりされたり,はたまた,裁判に訴えられたりなど,モノの場合とは比較にならない様々な義務や責任が付随してくる.
コピー機のリース契約を更新しなくたって,コピー機がストしたり,記者会見したり,裁判したりするわけもないが,ヒトの場合はありうる.
そんなわけで,ぜーんぶこういうのアウトソーシングしてすっきりしたい!と思う気持ちはある意味よくわかる.
労働者から労働者としての権利を剥奪しモノ扱いする人材派遣というシステムはもっともっと厳しく制限されるべきであるが,今の日本では,経済界は言うまでなく,労働界すら容認ムードで,どうしようもない,というような派遣労働の根幹にかかわる話はさておき,このようなヒトやモノの管理をアウトソーシングするとコストはどうなるんだろう?
アウトソーシングにすれば,必然的に安くなると思っている人もいるが,もちろん必ずしもそうではない.高くなることだってあるだろう.いや,むしろ高くなることが多いのではないだろうか.高いけどラクだからアウトソーシングということもあるだろう.よく,人材派遣にすれば保険の負担がいらない,などと言う人もあるが,そんなことはない.保険の負担は派遣契約に含まれているのである.保険の負担がいらないんじゃなくて,保険や税金の管理がいらなくなるだけである (もちろんその費用も派遣契約に含まれている).
7月に立命館の事務室に回覧されていた「事務補助アルバイト雇用の見直しに伴う人材派遣職員化について」という文書がある.事務室で働いている人は目にしていると思うが,書いてあることがモノスゴイ.派遣法違反の記述も盛りだくさんで,こんな違法行為の計画を全職員に回覧しちゃってイイの!?と思うがそのへんは話すと長くなるのでパスして,要するに結論は「人材派遣の方がお金かかるけど,予算も余っているし,人材派遣にしましょう」というものである.
派遣職員を入れる場合,経費は全部コミコミで,1時間あたり,1200円か1300円 (この2段階の理由がまたすごいのだが長くなるのでパス) を派遣会社に払うそうだ.どの派遣会社とは書いていないが,クレオテックのことだろう.一方,派遣職員が受け取る時給は900円である (手取りではなくて額面).すると,クレオテックには,その差額の300~400円が入るわけだ.
社会保険料の使用者負担分が,11%くらいかかるから,それを100円として,残りは,200~300円.これが1時間ひとりあたりの額で,「事務補助アルバイト」124名を全員派遣にすると,
1時間あたり・・・・・・・・・・・・24,800~37,200円
1日(7.5時間)あたり・・・・・186,000~279,000円
1ヶ月(20日)あたり・・3,720,000~5,580,000円
が立命館からクレオテックに,クレオテックの取り分として流れることになる.すごい額.
もちろん,これがまるまるクレオテックの儲けになるわけではなくて,124名の社員の管理はちょっとした仕事だろうから,クレオテックもそのために職員を増やしたりとかして,コストもかかるだろう.
しかし,クレオテックの場合は通常の派遣会社が行うような営業活動がいらないし (何もしなくても立命館から派遣の仕事が勝手にまわってくる),ときには採用さえ立命館が代行しているから,かかるコストは一般の派遣会社よりもずっと少ないはずだ.
ちなみに,派遣法といえば龍谷大学の脇田教授が有名だが,脇田教授のホームページによれば,の一般の派遣会社でも,コストは社会保険入れて最大2割,それ以上はピンハネ部分と考えられるということだ.
このようなコストを越える部分が「ピンハネ」なのか「違法」なのかはさておき,一体,この金はどこに流れているのだろうか?学校の財務は公開義務があるが,クレオテックにはない.立命館から,直接雇用の場合よりも断然高い金が,「物件費」としてクレオテックに流れ,派遣労働者のために使われる部分以外は,闇に消えている.
学生からの授業料や国からの助成金をとっているからこそ,学校法人には財務公開義務があるわけだが,クレオテックをかませてしまえば,そこから先は闇なのである.
ここにくわしく書いたのは事務補助アルバイトを派遣におきかえる計画についてだが,それ以外の,コピー機のリースとか,駐輪場の管理とかについても,闇に流れている金は多いのではないだろうか.
なんとかしてクレオテックの財務公開させることはできないものでしょうか.ちなみに,クレオテックの役員はほとんどが立命館関係者です.
■役員構成
代表取締役社長 伊藤 昭 (前学校法人立命館常務理事)
取締役 川本八郎 (学校法人立命館理事長)
取締役 岡本 康 (社会福祉法人丹和会理事)
取締役 平井孝治 (立命館大学経営学部教授)
取締役 高取 彰 (学校法人立命館総務部付課長)
取締役 杉山 勉 (クレオテック専任社員)
取締役 鳥井伸哉(クレオテック専任社員)
取締役 廣野達也(立命館慶祥中学校・高等学校教諭)
取締役 古田房之(クレオテック専任社員)
取締役 國廣俊一(クレオテック専任社員)
監査役 出口昌良 (学校法人立命館財務部財務企画課長)
クレオテックは,立命館が必要ないろんなサービスをコーディネートをする会社である.たとえば「 教育用および事務用機器・備品の販売、リース」が事業のひとつとして上がっているが,事務用機器を作っているわけでもなければ,販売店を経営しているわけでもなく,リース会社をしているわけではない.クレオテックのホームページにも書いてあるが,メーカーやリース会社との折衝をしているだけである.
しかし,メーカーやリース会社との折衝「だけ」といっても,結構そういうこまごました庶務というのはメンドクサイものである.それをまとめて切り離してアウトソーシングしたということだ.
「総務アウトソーシング」で検索するとそういうサービスをやっている会社がいっぱいヒットする.
さらに,クレオテックは,人材派遣もやっているが (クレオテックと立命館の派遣法違反については,書いていると長くなるので今回はパス) 人材派遣は,立命館では,「人事課のアウトソーシング」とみなされているようだ.
つまり,モノの管理のアウトソーシングだけでなく,ヒトの管理もアウトソーシングしようということだ.モノの場合もメンテナンスは必要だが,ヒトの場合は,いったん雇ってしまうと,給料の管理から始まって,各種保険,移動,賃上げ,賃下げ,解雇,雇止め,組合に入れば,交渉,争議,さらには,セクハラをしたりされたり,はたまた,裁判に訴えられたりなど,モノの場合とは比較にならない様々な義務や責任が付随してくる.
コピー機のリース契約を更新しなくたって,コピー機がストしたり,記者会見したり,裁判したりするわけもないが,ヒトの場合はありうる.
そんなわけで,ぜーんぶこういうのアウトソーシングしてすっきりしたい!と思う気持ちはある意味よくわかる.
労働者から労働者としての権利を剥奪しモノ扱いする人材派遣というシステムはもっともっと厳しく制限されるべきであるが,今の日本では,経済界は言うまでなく,労働界すら容認ムードで,どうしようもない,というような派遣労働の根幹にかかわる話はさておき,このようなヒトやモノの管理をアウトソーシングするとコストはどうなるんだろう?
アウトソーシングにすれば,必然的に安くなると思っている人もいるが,もちろん必ずしもそうではない.高くなることだってあるだろう.いや,むしろ高くなることが多いのではないだろうか.高いけどラクだからアウトソーシングということもあるだろう.よく,人材派遣にすれば保険の負担がいらない,などと言う人もあるが,そんなことはない.保険の負担は派遣契約に含まれているのである.保険の負担がいらないんじゃなくて,保険や税金の管理がいらなくなるだけである (もちろんその費用も派遣契約に含まれている).
7月に立命館の事務室に回覧されていた「事務補助アルバイト雇用の見直しに伴う人材派遣職員化について」という文書がある.事務室で働いている人は目にしていると思うが,書いてあることがモノスゴイ.派遣法違反の記述も盛りだくさんで,こんな違法行為の計画を全職員に回覧しちゃってイイの!?と思うがそのへんは話すと長くなるのでパスして,要するに結論は「人材派遣の方がお金かかるけど,予算も余っているし,人材派遣にしましょう」というものである.
派遣職員を入れる場合,経費は全部コミコミで,1時間あたり,1200円か1300円 (この2段階の理由がまたすごいのだが長くなるのでパス) を派遣会社に払うそうだ.どの派遣会社とは書いていないが,クレオテックのことだろう.一方,派遣職員が受け取る時給は900円である (手取りではなくて額面).すると,クレオテックには,その差額の300~400円が入るわけだ.
社会保険料の使用者負担分が,11%くらいかかるから,それを100円として,残りは,200~300円.これが1時間ひとりあたりの額で,「事務補助アルバイト」124名を全員派遣にすると,
1時間あたり・・・・・・・・・・・・24,800~37,200円
1日(7.5時間)あたり・・・・・186,000~279,000円
1ヶ月(20日)あたり・・3,720,000~5,580,000円
が立命館からクレオテックに,クレオテックの取り分として流れることになる.すごい額.
もちろん,これがまるまるクレオテックの儲けになるわけではなくて,124名の社員の管理はちょっとした仕事だろうから,クレオテックもそのために職員を増やしたりとかして,コストもかかるだろう.
しかし,クレオテックの場合は通常の派遣会社が行うような営業活動がいらないし (何もしなくても立命館から派遣の仕事が勝手にまわってくる),ときには採用さえ立命館が代行しているから,かかるコストは一般の派遣会社よりもずっと少ないはずだ.
ちなみに,派遣法といえば龍谷大学の脇田教授が有名だが,脇田教授のホームページによれば,の一般の派遣会社でも,コストは社会保険入れて最大2割,それ以上はピンハネ部分と考えられるということだ.
このようなコストを越える部分が「ピンハネ」なのか「違法」なのかはさておき,一体,この金はどこに流れているのだろうか?学校の財務は公開義務があるが,クレオテックにはない.立命館から,直接雇用の場合よりも断然高い金が,「物件費」としてクレオテックに流れ,派遣労働者のために使われる部分以外は,闇に消えている.
学生からの授業料や国からの助成金をとっているからこそ,学校法人には財務公開義務があるわけだが,クレオテックをかませてしまえば,そこから先は闇なのである.
ここにくわしく書いたのは事務補助アルバイトを派遣におきかえる計画についてだが,それ以外の,コピー機のリースとか,駐輪場の管理とかについても,闇に流れている金は多いのではないだろうか.
なんとかしてクレオテックの財務公開させることはできないものでしょうか.ちなみに,クレオテックの役員はほとんどが立命館関係者です.
■役員構成
代表取締役社長 伊藤 昭 (前学校法人立命館常務理事)
取締役 川本八郎 (学校法人立命館理事長)
取締役 岡本 康 (社会福祉法人丹和会理事)
取締役 平井孝治 (立命館大学経営学部教授)
取締役 高取 彰 (学校法人立命館総務部付課長)
取締役 杉山 勉 (クレオテック専任社員)
取締役 鳥井伸哉(クレオテック専任社員)
取締役 廣野達也(立命館慶祥中学校・高等学校教諭)
取締役 古田房之(クレオテック専任社員)
取締役 國廣俊一(クレオテック専任社員)
監査役 出口昌良 (学校法人立命館財務部財務企画課長)
by gurits
| 2006-08-24 11:09
| クレオテック