2008年 10月 13日
フジテレビの非常勤講師観
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昨日の朝のフジテレビ「新報道2001」で大学非常勤講師の問題が30分枠で放送されると聞いていたので見てみた.ひどい番組なんじゃないかという気がしていたが,予想以上にひどかった.
非常勤講師Nさんの「悲惨な実態」の部分で悲愴感が多少おおげさに編集されていたのは,まあテレビだからいいとして,それ以外の部分の構成がひどすぎた.
番組の構成は,「非常勤講師Nさんの置かれている状況がどんなに悲惨かを描写」→「原因にちょっとだけ言及」→「さて,Nさんはどうやったらこの悲惨な状況から抜け出せるでしょう?(偉い人のコメント)」という作りだった.
しかし,考えてみてほしい.Nさんが,上手くたちまわって,この悲惨な状況から抜け出せたとしても,それは,Nさんにとってはもちろん良いことだが,状況が変わらない限り,他の人が代わりにその悲惨な状況に置かれるだけで,個人的な問題が解決しても,社会的な問題はなにひとつ解決していないのである.
番組の中で,非常勤講師は,どんくさくて,要領悪くて,視野が狭い,というような内容の指摘があったが,それはそれなりに事実だろう.しかし,もし仮に,Nさんや私やその他おおぜいの「どんくさくて要領が悪くて視野が狭い人」が,突然「要領良く」立ち回って,悲惨な専業非常勤講師生活にオサラバして,華麗に転身したとしても,大学の授業の半分を非常勤講師が担っていて,その労働条件が悲惨であるという実態が変わらなければ,悲惨部門の担当者が入れ替わるだけのことだ.
この番組は,フリーター脱出のためにどういう職業訓練をしたらいいか,といった話と同じ視点から作られたと思う.もちろん良い職業訓練が無償もしくは安価で受けられるようになればそれは良いことだと思う.しかし,全国のコンビニや外食産業が最低賃金に近い労働条件のフリーターに依存して成立しているという実態は,職業訓練では変わらない.
非常勤講師Nさんの「悲惨な実態」の部分で悲愴感が多少おおげさに編集されていたのは,まあテレビだからいいとして,それ以外の部分の構成がひどすぎた.
番組の構成は,「非常勤講師Nさんの置かれている状況がどんなに悲惨かを描写」→「原因にちょっとだけ言及」→「さて,Nさんはどうやったらこの悲惨な状況から抜け出せるでしょう?(偉い人のコメント)」という作りだった.
しかし,考えてみてほしい.Nさんが,上手くたちまわって,この悲惨な状況から抜け出せたとしても,それは,Nさんにとってはもちろん良いことだが,状況が変わらない限り,他の人が代わりにその悲惨な状況に置かれるだけで,個人的な問題が解決しても,社会的な問題はなにひとつ解決していないのである.
番組の中で,非常勤講師は,どんくさくて,要領悪くて,視野が狭い,というような内容の指摘があったが,それはそれなりに事実だろう.しかし,もし仮に,Nさんや私やその他おおぜいの「どんくさくて要領が悪くて視野が狭い人」が,突然「要領良く」立ち回って,悲惨な専業非常勤講師生活にオサラバして,華麗に転身したとしても,大学の授業の半分を非常勤講師が担っていて,その労働条件が悲惨であるという実態が変わらなければ,悲惨部門の担当者が入れ替わるだけのことだ.
この番組は,フリーター脱出のためにどういう職業訓練をしたらいいか,といった話と同じ視点から作られたと思う.もちろん良い職業訓練が無償もしくは安価で受けられるようになればそれは良いことだと思う.しかし,全国のコンビニや外食産業が最低賃金に近い労働条件のフリーターに依存して成立しているという実態は,職業訓練では変わらない.
by gurits
| 2008-10-13 08:59
| マスコミ・メディア

